No16 メタボリックな魚達 2008年5月20日(火)
春を迎えたオホーツク海では、流氷が残した養分によってプランクトンが大繁殖し、それを求めて沢山の魚達が活動を始めます。同時に多く釣り人達が海岸や港に押しかけカレイやチカやニシンなどをねらって竿を並べています。オホーツクの釣り人の海明けです。この時期に最高においしいのは毛ガニとサクラマスでしょう。
サクラマスの名の由来は、桜の花が咲く季節に生まれ育った川に帰って来るからだとの説と、秋の産卵の季節になると桜色の模様が体に出来てくるから、との二つの説がありますが、旬を考えるとやはり春の魚と思えてしまいます。オホーツクでは主に小型定置網で漁獲されますが、あまり多くとれる魚ではなく、スーパーなどでお目にかかる事が少ないです。塩振り焼き、煮付け、フライ・・・。どの料理も絶品です。春に遡上を始めるサクラマスは、秋の産卵の季節までほとんど餌をとらないで暮らして行かなければならないので、今の時期にはたっぷりの脂肪を体に蓄えたメタボリックな体型をしています。その栄養分で半年間生き抜くのです。
昔から漁師の人達は、大きくてりっぱなサクラマスを敬意をこめて板マスと呼びます。横から見るとお腹がでっぷりとしていてまるで長方形の板の様に見えるからだそうです。ホッケにしてもサケにしても、ほとんどのおいしい魚はメタボリックな体型な方が立派に見えるのです。
魚の世界では価値観をもって語られメタボ体型ですが人の世界では逆。自分が何かわるいことをしているかのような、寂しい気持ちにさせられることが多いです。「あなたもお魚さんだったらよかったのにね」と妻に言われ、そっとおなかをなぜる私です。
*つぶやき*
ぷっくりとしたヤマベのフライ。私の大好物である。
自然からの偉大なお恵みもメタボな私にとっては危険な誘惑である。しかしがまんできない!