No.15 見えない命 2007年5月26日(土)

サケは親子が巡り会うことはありません。 秋に川に上ってきた親サケは産卵をして死んでしまいます、その親サケの死んだ体はバクテリアによって分解され川の養分となります。それによりちいさな川の虫たちが繁殖し、その虫たちを生まれたサケの赤ちゃん達が食べて大きくなり、川を下って海にたどり着き大海原を回遊して大きく育ち、また生まれた川に帰ってくるのです。  実際には親サケが子供のめんどうをみて育てるわけではないのですが、見えない大きな命の連鎖で繋がっているのです。  昨年秋の大洪水で湧別川も各所に被害が出ました。川だった所が干上がり、畑だったところが川になったりしているので、今年から色々な場所で工事がが始まることでしょうが、多くの子魚や虫たちも流されたりすみかを失い、多くの影響を受けているはずです。  カナダでは幼稚園から高校生までサケの採卵作業や川の周りのゴミ拾いなどの体験学習事業をして川の大切さを学んでいます。川を大切にする意識も高く、工事に関しても多くの地域住民の話し合いの基に行われています。  湧別川ももっと川を大切にした工事をして欲しいものです。見えない命を大切に育てていける場所を残し、それを教えていくことで、目の前にある現実的な事にばかりに左右されない子供達が育つのではないでしょうか。



*つぶやき*
黄卵(さいのう)とよぶ袋を付けたサケの赤ちゃんである。よく冷たい水の中で生まれ育つものである。 弱々しく見えていても実はたくましい。

No16 メタボリックな魚達 2008年5月20日(火)

春を迎えたオホーツク海では、流氷が残した養分によってプランクトンが大繁殖し、それを求めて沢山の魚達が活動を始めます。同時に多く釣り人達が海岸や港に押しかけカレイやチカやニシンなどをねらって竿を並べています。オホーツクの釣り人の海明けです。この時期に最高においしいのは毛ガニとサクラマスでしょう。 サクラマスの名の由来は、桜の花が咲く季節に生まれ育った川に帰って来るからだとの説と、秋の産卵の季節になると桜色の模様が体に出来てくるから、との二つの説がありますが、旬を考えるとやはり春の魚と思えてしまいます。オホーツクでは主に小型定置網で漁獲されますが、あまり多くとれる魚ではなく、スーパーなどでお目にかかる事が少ないです。塩振り焼き、煮付け、フライ・・・。どの料理も絶品です。春に遡上を始めるサクラマスは、秋の産卵の季節までほとんど餌をとらないで暮らして行かなければならないので、今の時期にはたっぷりの脂肪を体に蓄えたメタボリックな体型をしています。その栄養分で半年間生き抜くのです。 昔から漁師の人達は、大きくてりっぱなサクラマスを敬意をこめて板マスと呼びます。横から見るとお腹がでっぷりとしていてまるで長方形の板の様に見えるからだそうです。ホッケにしてもサケにしても、ほとんどのおいしい魚はメタボリックな体型な方が立派に見えるのです。 魚の世界では価値観をもって語られメタボ体型ですが人の世界では逆。自分が何かわるいことをしているかのような、寂しい気持ちにさせられることが多いです。「あなたもお魚さんだったらよかったのにね」と妻に言われ、そっとおなかをなぜる私です。    



*つぶやき*
ぷっくりとしたヤマベのフライ。私の大好物である。 自然からの偉大なお恵みもメタボな私にとっては危険な誘惑である。しかしがまんできない!

No17 エルムの雑木山 2009年5月10日(日)

英語でエルムとはハルニレなどニレの木の総称で、幸福の木の意味を持つと言われています。昔は街路樹にもなっていて、流行歌の「高校三年生」の「ニレの木陰に...」というフレーズを知っている人も多いはずです。でも実際のニレの木がどんな木なのかを知っている人は少ないかもしれません。 ニレを含め多くの広葉樹が混生している山は雑木山と呼ばれます。その中はいろいろな特徴の木が生えて、多くの生き物が生活している場所になっています。木の実は動物たちの餌になり、落ち葉は栄養豊かな土になり、山に水分を蓄える保水の役目をはたします。川に落ちたり、海にながれたりした葉は、虫たちの餌になり、その虫を食べる魚たちにとっても大切な役割をはたしているのです。だから雑木山はとても大事なのに、今、私の周りではどんどんなくなっています。雑木を育てるのは年数がかかるから、というのが理由で、成長が早い針葉樹に切り替えられているのです。しかし針葉樹だけでは、雑木山の役割を果たすことができません。 国有林では、皆伐して針葉樹だけを植える昔の方法ではなく、広葉樹と織り交ぜた林を造る方法に替わってきてはいるそうですが、いまだに経済性だけを重視する人が多く、民間の山ではほとんど採用されてません。エルムの木を好きな人に贈ると、「私に会いに来て」というシグナルになるそうです。この春は、ぜひ多くの人たちが関心を持って雑木山に足を運んでくれることを願っています。



*つぶやき*
この写真は当時近くに住んでいたオーストラリア人が写してくれた湧別海岸のニレの木です。彼の写真はセンスが良くてすばらしかった。しかしいきなり離婚すると言ったきりいなくなった。私は英会話を少し習ったが、もうすっかり忘れている!

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