No.6 「どんこ」の泳ぐ清流に2003年7月30日(水)

 子供の頃、私は毎日のように川で遊んでいました。家庭訪問になると先生は、まず川に回って私を引き連れてから家に向かったほどです。  そんな自分にとって最も思い出に残っているのは「どんこ」と呼ばれた魚でした。ミミズを糸で縛ってだんごを作り、木の棒の先にゆわえてぶら下げ、静かに川底に落とすと、一度に二匹も三匹も上がってくるのです。  焼き干しにしてだしにすると、うどんの汁には最高だよと、祖父に喜ばれたものでした。  本名はカジカですが、うごきが鈍そうで、ユーモラスな形をしているのでそう呼ばれていたのです。手ぬぐいですくうこともできる、子供達には最もポピュラーな魚でした。  今、湧別川にその姿はありません。川のずうっと上流に小さいのがいるとの話は聞きましたが、私は見たことがありません。 「どんこ」は比較的流れの緩やかな川底の石の下に棲(す)み、水生昆虫や小さな魚等を食べています。ほとんど川底を離れることもなく、大きく住む地域を変えることもしません。川に流れてくる有害な物は一番先に川底に溜まります。その影響を大きく受けたのが「どんこ」なのだと思います。  湧別川は今、ようやく上流の方にも浄水場が建設されて、浄化が始められています。 あの愛嬌のあるどんこの姿がよみがえる、その時ほんとうに湧別川は清流になれると思います。



*つぶやき*
上流に行くと民家が無くなる地点からは川底が綺麗になるような気がします。最近生田原川の上流で久しぶりにどんこを釣り上げた時には感動しました。とてもいとおしくてそっと頭をなぜて流れにもどしましたが、どんこにとっては迷惑な話だね!

NO.7 川とお役所 2004年5月19日(水)

湧別川でサクラマス釣りを開放して下さい-。私たちがそんな運動を始めてかなり長い年月がたっています。ただ釣りがしたいと言っているのではありません。サクラマスという魚を通じて川に関心を持ってもらい、自然な川の姿を大切に守って行きたいとの思いからなのです。  しかし現実には取組はなかなか前に進むことが出来ません。私たちの要望に対しての道からの回答はこうです。「漁業関係者の同意が得られない」「湧別川はサケマスの増殖河川であり、現在網走管内のサクラマス資源は自然産卵によるので河川に遡上した親魚の保護が不可欠」....。  今、湧別川のサクラマスは大きな危機を迎えています、最大支流である生田原川の上流部で網走開発建設部が取水堰(せき)と、農業用貯水池をつくる計画を進めているのです。事業予算は91億円だそうです。ところが、その場所こそサクラマスの大切な産卵地になのです。水量が減ってしまうことは自然産卵に大きな影響が有ると環境影響評価(アセスメント)の段階でも充分にわからなかったのでしょうか。  同じ北海道の中の「お役所」が全然方向の違う事業をすることに大きな疑問を感じます。  河口から上流にまで人工物によってせき止められていない川は、国内に数少なくなりました、かろうじて残されている大切な命の源である自然の川を、子供達に残していきたい。そう考えて活動しています。



*つぶやき*
生田原川上流の取水堰の現場です。大切なサクラマスの産卵場所でした。現在は周りも木が切られて貯水池も完成していますが、その水の供給を受けている農家は十軒あるかないかです!我々の税金から約100億円使われていますが。

NO.8 アライ・アパッポ 2004年5月19日(水)

アイヌ語で(チライ・アパッポ)とは福寿草です  チライとは日本最大の淡水魚イトウ。春の雪解け水が出て水量が多くなると上流の小さな川にイトウが上ってきて産卵するため、その時にときに咲く花と名付けたのだそうです。  イトウは現在、環境省のレッドリストで絶滅危惧種に指定され北海道内でもほんの一部の地域にしか棲(す)んでいません。かつては湧別川にも沢山の大きなイトウがいました。 私の祖父は、青年時代みんなで釣りに行き、川岸にいた蛇に大きなイトウが襲いかかるのを見たそうです。ものすごい音と水柱がたち、一緒にいた人達は、祖父が川に落ちたと思って助けに来たそうです。  実は現在でも、湧別川にわずかながらイトウがいます。イトウは海から棲み良い川を求めているようです。河口付近で海から入ったばかりの銀色のイトウを見せてもらった事もあります。中流付近に棲みついたイトウを、釣り人がチャッチしてリリースしているのも知っています。  でも今の湧別川はイトウには受難の川かもしれません。コンクリートの堰や堰堤のない小川でないとイトウは産卵できないのです。  春の福寿草の時期には近くの小川に大きなイトウが産卵に上り、サクラマスが遡上し、秋にはサケやカラフトマスが帰ってくる 。そんな湧別川を取り戻したいと活動しています。



*つぶやき*
5月の初旬天塩川下流にて釣り上げたイトウです。 大きな魚は上流に産卵に遡上しているので小型が主体でした。湧別川にも沢山棲んでくれたら、遠くまで行かなくてもいいのだが!いやいや、そんなとこまで普通にいくのがオバカだ!

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