ヤツメでナイト
湧別川には、初秋になると海からヤツメウナギが産卵の為に上がってきます。ビタミンAの含有量が多く、古くから目の病に効く薬用として珍重されてきました。
ただ最近は環境変化の影響なのか、数が少なく、大きさも小ぶりになり、食用のヤツメウナギを捕まえるのは大変になっています。
夜行性の為、漁は暗くなってから川の水深の浅い場所で、行います。道具を使うのは禁止されているので、ぬるぬるしている体を手づかみするには軍手が欠かせません。
真っ暗闇の川の中に立っていると、はじめは周りがまったく見えなくて不安ですが、だんだんと目が慣れてきます。今と違って、太古の昔の夜はこんなものか、と不思議な感覚になります。
翌日の夜は、料理の時間です。ヤツメウナギには、背骨がなく、背割りにするのはウナギより簡単。さっと湯引きして皮をむき、下ごしらえをして、かば焼用のたれにひと晩漬け込みます。
そして3日目の夜は友達と宴会。「どうも最近は目が弱っていかん」とか良いながら、酒飲みが集まってきます。かば焼のほか、柳川鍋風にしたり、空揚げにしたりしても、とても好評です。気が付くと、酔いが回ったみんなの目はうつろ。ヤツメウナギは果たして効いているのか気になります。
こうして楽しい「ヤツメでナイト」は三日三晩に及ぶのです。
http://huat.jp/masatoshi/no/37
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2010年9月10日北海道新聞「ときわぎ」に掲載されました。