今月のコラムです

カゲロウな釣り人たち 6月25日(金)北海道新聞オホーツク覧 コラム(ときわぎ)
長い冬が終わり雪解け水が落ち着くと、待ちに待った川釣りシーズンが到来する。今年は雪解けが遅く、「早く水がきれいにならないか」と仕事の行き帰りに川面を見ては気をもんでいたが、6月に入りニジマス釣りが本格化してきた。私がよく釣りに行く湧別川にはカゲロウが多く生息する。川の生態系の中で魚たちの餌として重要な位置を占める昆虫で、羽化した成虫が水面に浮かび上がる時が最も盛んに捕食される。カゲロウが羽化するのは、日が暮れてほとんど薄暗くなりかけてから。釣り人たちにとっても夕方が最高の釣り時間となり、私は夕食を食べてからゆっくりと川に向かうときもある。さあ、戦闘開始。フライフィッシングの疑似餌はもちろんカゲロウに似せている。水面を跳ねている魚に向かって釣り針を流すが、いつもうまく食いつくとは限らない。途中で疑似餌を交換する時は、薄暗い中で釣り針に糸を通すので老眼の私にはかなり難しく、焦って血圧が上がってしまう。水面ばかり見つめていて、ふと気づけば周りは真っ暗闇というのは珍しくない。
森の暗さを改めて実感し、帰り道にクマと遭わないかと怖くなり、どきどきしながら急ぎ足になる。カゲロウは成虫になってからの寿命が短く、はかないものに例えられる。私にとってもこの釣りは「心臓に良くない。寿命が縮むな」と感じる。妻には「そこまでしなくてもいいんじゃない」と言われるが、やっばりやめられない。

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