湧別川の宝石
北海道新聞のオホーツク版に’ときわぎ’といふコ
ラムがあり定期的に執筆しています
12月4日版です 題名 湧別川の宝石
湧別川に住む魚の中で最もかれんで美しいのは、
オショロコマだと思います。体長20cmほどの小さな
魚ですが、体の横側にオレンジ色の斑点があり、ひ
れにも白とオレンジのコントラストがあって、まる
で川の宝石のような魚です。
湧別川では水温の低い最上流部に住んでいて、夏
になるとほとんど水が枯れてしまうような小さな流
れにもいます。よくぞこんな場所に、と生命力の強
さに感心させられます。
子どものころ、白滝に住んでいた伯父さんのバイ
クの後ろに乗せてもらい、釣りによく連れて行って
もらいました。クマが出るから離れるなよと言わ
れ、怖い思いをしながらも、驚くほどたくさん釣れ
てうれしかった思い出があります。
そんなオショロコマも最近は数が少なくなってい
ます。原因の一つは多くの砂防ダムに住居を分断さ
れていることです。湧別川の上流には非常に多くの
砂防ダムが点在し、ほとんど魚道がありません。オ
ショロコマの大半はダムとダムの間の限られた場
所、短い所では数百?ほどしか移動することができ
ないのです。
たまに下流域で、明らかに海に出てから帰ってき
たと思われるオショロコマの仲間が釣れることがあ
ります。外国ではドリーバーデンと呼ばれる銀白色
で斑点の薄い大きな魚体ですが、彼らも決して上流
部までたどり着くことはできないのです。
また、低水温の中で生活するオショロコマは地球
温暖化の影響を最も受けやすい魚です。水温が1度
上昇すると生存率が74・4%に低下し、4度上がると
10・4%にまで落ちるとのデータが報告されていま
す。
湧別川の宝石をなくさないため、われわれがする
べきことは。たくさんあると思っています。?(遠
軽町・エルム美容室経営)