初めての「鹿助け」のお話
三寒四温と申しますが、とんでもない。今年は、六寒七温を待つしかないな、と思わせるような天候です。家の周囲は雪で覆われています。
今日は、孫たちと遠軽町丸瀬布の山奥にある「山彦の滝」へ行き、氷瀑を見て、氷の滝の裏側にある祠(ほこら)へお参りしに行ってきました。
途中、道端の坂の雪の中に、まだ若い雌鹿が埋まって動けずにいました。昨夜来、降り続いた濡れ雪に足を取られ、立ち上がれない様子でしたので、前足と後ろ足の周囲の雪を取り除いてやりましたが、自力では立ち上がれない。
もっと近づいて鹿の肩を持ち上げて立たせようと試みましたが、後ろ足は踏ん張れそうなのですが、前足を立てられないようです。もしかしたら、足が折れているのかと思い、触ってみましたが痛がる様子もないのです。
食べるものもなく空腹なのかもしれません。持っていったお菓子を座り込んでいた鹿の口元に置き、先ずは孫たちに言い聞かせて滝を見に。
私の後ろ髪が引っ張られそうな想いでしたが。「帰途につくときは、どうぞ、あの場所にいませんように。」と祈る思いでした。
25メートルの氷瀑を眺め、滝下で軽い昼食を済ませて帰路に。
孫たち(私の孫二人と娘の親友の子ども二人)は、先程の鹿が気になるのでしょう、現場まで一目散に走っていきました。
口元に置いたお菓子はないので、食べたようでした。しかし、同じ場所で蹲(うずくま)っているので、残っていたお菓子(クッキー)をあげようと近づいて行ったところ、前足で踏ん張って立ち上がり、道路伝いに20メートル位、歩いて離れて行き、道路脇の雪の中に再び座り込みました。
歩けることが確認できたので、孫たちと元気に山に戻ることを祈って、その場を離れました。
いつまでも解けない雪で食べ物もなくなり、根開きした木の皮やその周りの草を求めて降りて来たのでしょうが、この湿った雪のせいで食べるものもなく、空腹で動けなくなったのですね。
どうか山へ帰れますように。寒さで衰弱しなければいいのですが。
生まれて初めての人助けならず、「鹿助け」の貴重なお話でした。